「三人寄れば文殊の知恵」ということわざをご存知でしょうか?これは「ただの凡人でも3人で話し合えば、知恵を司る文殊菩薩のようにすごい知恵が出る」という意味です。その文殊菩薩をまつっているのが「日本三所霊場 知恵文殊菩薩」の一つ、愛媛県今治市の「竹林寺(ちくりんじ)」です。
竹林寺の歴史は、聖武天皇の時代に遡ります。越智大領の小千守興が願主となり、観量僧によって開基されました。初めは盧舎那仏像を本尊とし真如坊と呼ばれていましたが、755年(天平7年)に行基が巡錫した際、中国の五台山に倣って文殊菩薩を本尊とし、寺名を竹林寺と改めました。その後、弘法大師もこの地を訪れ、観光上人に文殊菩薩五百万遍の秘法を授けました。
竹林寺の御詠歌「南無文殊 三世諸佛の 母ときく 我れも子なれば ちちぞほしけれ」は、文殊菩薩への信仰の深さを示しています。この詠歌からも、文殊菩薩が知恵の象徴として敬われていることがわかります。
また、竹林寺は寛永15年(1638年)に書かれた紀行記『空性法親王四国霊場御巡行記』にも記載されており、今でも「智恵の文殊さん」として地元の人々に親しまれています。竹林寺を訪れることで、古の知恵と静寂の中で心の安らぎを得ることができるでしょう。