愛媛県今治市菊間町の掌禅寺(しょうぜんじ)には、「金龍桜(きんりゅうざくら)」と名付けられた約400年の歴史を巨大な桜があり、この桜を見ようと多くの花見客で賑わいます。
- 品種:エドヒガン ( 江戸彼岸 )
- 幹回り:388cm(地上1.2m)
- 根周:317cm(地上20cm)
- 樹高:16m
金龍桜の魅力と特徴
金龍桜の花びらは、咲き始めには鮮やかなピンク色をしており、散り際にはほぼ白色に変わります。この色の変化は、季節の移ろいを感じさせる美しい光景です。
春には満開の桜が菜の花と共に咲き乱れ、そのコントラストが一層際立ちます。特に夜間にはライトアップされ、幻想的な花見の雰囲気を楽しむことができます。
毎年春になると掌禅寺では「花まつり」が開催されます。この祭りでは、お釈迦様の誕生を祝う行事として、地元の音楽グループによるコンサートが行われ、多くの観光客が訪れます。
また、菊間特産の菊間瓦を使った美しい瓦灯籠が夜の雰囲気を一層引き立て、非常に神秘的でロマンチックな雰囲気の中で夜桜を楽しむことができます。
名称の由来と山号
この「金龍桜」という名前は、寺の山号である「金龍山」に由来しています。
ちなみに山号は、日本の寺院において、寺の名前(寺号)に付けられる称号の一つです。寺院の正式名称は「山号 寺号」という形で表記されます。
山号の起源は古代中国にさかのぼります。中国では、初めて寺院が山の中に建てられ、その所在地の山の名前がその寺院の名前として使われることが一般的でした。このようにして山の名前が寺の名前に組み込まれる形で「山号」が始まりました。
日本においても、古代には寺院が山の中に建てられることが多く、その地理的特徴を反映して山号が付けられました。後に、平地に建てられた寺院にも山号が用いられるようになりましたが、その際も由緒ある山や神聖な場所の名前が使われることが一般的でした。
山号は単なる地理的な名称以上の意味を持っています。寺院の霊的な側面や歴史的な背景を反映し、その寺の権威や神聖さを高める役割を果たしています。また、山号を持つことで、その寺が特定の仏教宗派に属することを示すこともあります。
災害を乗り越えた地域との絆
2018年7月の西日本豪雨では、愛媛県全域も深刻な被害を受け、今治市でも広範な土砂崩れと洪水が発生し、特に島しょ部が甚大な被害を受けました。この災害級の大雨によって「金龍桜」も一時は倒木の危機に直面しました。
しかし、地元の人たちの協力と努力のおかげで、なんとか倒木の危機を免れました。そして現在も春になると美しい花を咲かせ続けています。
掌禅寺の境内に咲く「金龍桜」は、ただの桜ではなく、地域の結束と歴史の象徴となっています。何世代にもわたって人々に愛され、今もなおその美しさを誇るこの特別な桜を見に、ぜひ桜の季節になったら掌禅寺を訪れてみてください。