「石拆神社(いわさくじんじゃ)」は、愛媛県今治市玉川地区の中村部落に鎮座する神社で、地域の人々からは「妙見(みょうけん)さん」と親しみを込めて呼ばれています。
伝承と祟り
この神社の創建については、次のような伝承が残されています。
昔、蒼社川に橋をかける工事が行われていました。その場所には大きなムクの木が生い茂っており、橋を建設する際に邪魔となったため、村人たちはやむを得ずその木を切り倒しました。
しかし、橋が完成間近になると、突然大きな音を立てて崩れてしまったのです。これを見た村人たちは、切り倒したムクの木に宿る神様の祟りではないかと恐れました。
そこで、村人たちは元の場所にムクの木を植え直し、橋を見守るように神社を建てて神を祀ることにしました。その後、二度目の工事は無事に成功し、橋は完成しました。この橋が「旧中村橋」です。
旧中村橋
日中村橋は、昭和10年代(1935年頃)に架設されたと伝えられています。今の国道が整備される以前は、この橋を渡ることが地域の主要な交通手段となっていました。
この橋は鉄筋コンクリート造りで、充腹アーチ構造という技術が使われています。アーチの下部が詰まっているこの構造は強度が高く、近代土木技術の優れた成果を示すものです。
特に、この橋は近代土木遺産としての価値が高く、地域の歴史を語る重要な建造物とされています。今治市内にある鬼原の落合橋は開腹アーチ構造で旧中村橋よりも規模が大きいですが、旧中村橋は独特のデザインと歴史的背景を持つ点で注目されています。