「山越神社(やまごえじんじゃ)」は、山の神々の祖とされる大山祇神(おおやまづみのかみ)を主祭神としてお祀りする、歴史と自然信仰に根ざした神社です。
創建の由緒
山越神社の創建は、江戸時代初期の慶長年間(1596〜1615年)と伝えられています。
この頃、現在の西条市山越地区が新たに開墾され、「山越新開村」として村が形成された際に、地域の守護神として山越神社が建立されたとされます。
以来、地域の発展とともに村の守護神として長く信仰され、現在も多くの人々が五穀豊穣や家内安全を願い参拝に訪れています。
神名の由来と地名の歴史
地名「山越」の由来と神社の名称について「山越(やまごえ)」という地名は、この地域を通る峠道と交通の歴史と深く関わっています。
今治方面から国道154号線(現在の周超農道)を通り、タオル美術館のある方向の山を越えると、かつて旧周桑郡に属していた村落、旦之上(だんのうえ)や実報寺(じっぽうじ)が広がっていました。
これらの村と接する境には、それぞれ峠が存在しており、旦之上との境は「椎の木峠」、実報寺との境は「ナラズ峠」と呼ばれていました。
そして、この峠を越えるそれぞれの道は「椎木越」「ナラズ越」と呼ばれ、地域の重要な交通の要所として長い間利用されてきました。
こうした地理的背景のもと、山を越える前に位置する麓の村のことを「山越」と呼ぶようになり、その地名が定着していったと伝えられています。
そして、この地に鎮座する神社も、村の名前に由来して「山越神社」と称されるようになったと考えられています